自民党新憲法草案
法学部の長岡です。

 さて、今日10月28日、自由民主党の「新憲法草案」が発表されました。11
月の党大会で正式発表のはこびだそうです。自民党として条文化された改憲案を
発表するのは、初めてのことになります。改憲案は、以下のサイトで入手できま
す。
http://www.jimin.jp/jimin/shin_kenpou/shiryou/index.html
9条に関しては、「戦争の放棄」というタイトルから「安全保障」「平和主義」
「自衛軍」というタイトルに変更されます。1項はそのままですが、2項を削除
し、9条の2を新設、自衛軍の保持を明記しています。また、自衛軍は「我が国
の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保する」活動の他「国際社会の平和と
安全を確保するために国際的に協調して行われる活動」を行います。
 さらに、軍事裁判所が下級審裁判所として設置されます。
 2項を削除し、軍の保持を明記した段階で、集団的自衛権の行使は当然のことと
されていることになります。対テロ戦争にアメリカにしたがって参戦すること
は、「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動」
です。アメリカのアフガニスタン攻撃が個別的自衛の名の下に行われたことを考
えれば、「我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保する」活動という
規定に、どれほどの規制力があるのか疑問です。
 その他、憲法を勉強しているものとしていいたいことはたくさんありますが、こ
こでは9条関係にとどめます。

最後に、今日の新聞によれば、民主党が憲法改正国民投票法案の骨子を発表した
とのことです。詳細はわからないのですが、とりあえず以下のサイトで概要はわ
かります。http://www.dpj.or.jp/news/200510/20051027_01kenpou.html

→10月31日の民主党憲法提言
自民党草案の前文と第2章は次の通りです。

前文
 日本国民は、自らの意思と決意に基づき、主権者として、ここに新しい憲法を制定する。
 象徴天皇制は、これを維持する。また、国民主権と民主主義、自由主義と基本的人権の尊重及び平和主義と国際協調主義の基本原則は、不変の価値として継承する。
 日本国民は、帰属する国や社会を愛情と責任感と気概をもって自ら支え守る責務を共有し、自由かつ公正で活力ある社会の発展と国民福祉の充実を図り、教育の振興と文化の創造及び地方自治の発展を重視する。
 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に願い、他国とともにその実現のため、協力し合う。国際社会において、価値観の多様性を認めつつ、圧政や人権侵害を根絶させるため、不断の努力を行う。
 日本国民は、自然との共生を信条に、自国のみならずかけがえのない地球の環境を守るため、力を尽くす。

第2章 安全保障
 第九条(平和主義)
 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
(下段第九条②を削る)
 第九条の二(自衛軍) 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮権者とする自衛軍を保持する。
 2 自衛軍は、前項の規定による任務を遂行するための活動を行うにつき、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
 3 自衛軍は、第一項の規定による任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び緊急事態における公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。
 4 前二項に定めるもののほか、自衛軍の組織及び統制に関する事項は、法律で定める。