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軍事裁判所
司法研究科の永田です。軍事裁判所設置についての私の意見です。
 現憲法76条2項は、「特別裁判所」を禁止しています。これは、法の支配・法治主義を徹底し、例外を認めないための規定です。戦前の軍法会議は、「特別裁判所」に当たるとされていますから、その復活は憲法に反します。9条を変えて軍事優先国家に作りかえていくためには、司法についても例外を設ける必要があるという考えから、この改正が提案されていると思います。
 ただし、自民党案では、軍事裁判所は下級審裁判所として位置づけるということになっています。軍事裁判所が最高裁の系列下に入るならば、戦前の軍法会議の復活そのものとは違ったものになります。しかし、通常の裁判官とは異なる軍事の専門家が裁判官となり(あるいは参加し)、実質的に下級審たる軍事裁判所において決着がつけられるようであれば、戦前の軍法会議と変わらないものになるでしょう。どちらにしても、これによって軍事が市民生活の中において正式な位置(優先的地位)を占め、法治主義が大きく後退することは間違いないと思われます。
長岡@法学部です。

 水野先生の提出された問題「軍事裁判所と市民生活の関係」について、すぐに思い起こすのは、「愛媛丸」事件です。招待客のために緊急浮上をしてみせたアメリカ海軍の潜水艦が、日本の外洋訓練船「愛媛丸」に衝突、同船はすぐに沈没し、高校生ら多数が死亡した事件です。潜水艦の艦長は、軍法会議で裁かれ、除隊処分でした。
 軍法会議のない自衛隊の潜水艦「なだしお」と「第1富士丸」の衝突事故では、艦長・船長とも刑法の業務上過失致死傷、業務上過失往来妨害罪で起訴され、艦長は禁錮2年6カ月(執行猶予4年)に処せられています。
 軍事裁判所ができれば、軍人の公務執行中の(あるいは公務を装った)行為は、軍法に照らし、軍事裁判所で裁判されることになります。軍の任務をいかに忠実に果したかが判断の基本的な基準となるのでしょう。
 戦前の日本の軍法と軍法会議が復活するとも思えませんが、以下、参考まで。戦前の日本の軍法会議の概要
http://www.geocities.co.jp/WallStreet/2687/siryo/siryo05.html
また、陸軍刑法等の軍法は、中野文庫にあります(ただし、軍法会議法がありません)。
http://www.geocities.jp/nakanolib/mokuji.htm
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司法研究科の松井(幸)です。
○ 軍事裁判所については、永田さん、長岡さんのご指摘の通りと思います。
  自衛隊に警務官はいますが、特別の軍法や裁判所がないことは、軍事司法と
いうことでは外国の研究者から見るときわめて特異のことに見えるそうです。そ
んなことで軍紀・軍律が維持できるのかということを中心に。「平和国家」の自
衛隊ではなく「普通の国」の戦う自衛軍となるためには不可欠のことと考えられているのでしょう。憲法改正がなされれば、軍事裁判所とともに警務官も「憲兵」(軍事警察官)となるのでしょう。

  「軍法」がどのようなものになるかによりますが、軍事裁判所が裁くのは軍
人=自衛官だけでなく、非軍人=市民も含みうることには注意しておく必要があ
ると思います(2.26事件)。